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聖闘士星矢Ω番外編 デシールタ
投稿日時 2013-8-15 0:06:38
執筆者 gf-tlvkanri
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あらすじ とある湖。この湖に光牙達以外にも向かう者達がいる。この湖には一体何が?
序 湖 ユナの星読みの力で、ある湖に向かうことになった光牙達。 「この星読みが意味することって・・・一体?」 「でも、ユナの星読みが『その湖へ行け』って出てるんだろ?なら行こうぜ」 ユナの疑問に対する答えにはならない言葉を返す光牙。 「・・・そうね、行ってみれば分かるかもしれないわね」 翌朝、光牙達はユナを頼りに湖へ向かった。
その頃、氷河もある湖を目指していた。 バレエなどで使われる白鳥の湖の旋律が一瞬頭に浮かんでしまい、少し苦笑しながら頭を振った。 「どうやら、ここからそれほど遠くはないようだ。それに今まで感じたことのない小宇宙(コスモ)の持ち主がいるようだな」 氷河は湖を探し、さらに歩を進めた。 氷河の言う、感じたことのない小宇宙(コスモ)の持ち主。琴座(ライラ)のアリアは既に湖に辿りついていた。 「ここは・・・いや、ここがアポロンの竪琴!」
琴座(ライラ)のアリア。竪琴奏者になることが叶わなかった父、人工言語学者で特にソルレソルについて調べていた母を両親に持つ。 そんな環境の為、竪琴を弾くこと、ソルレソルを身に付けることも、さも普通のことである家庭環境で幼少期を過ごしていた。 両親はアリアが7歳になる直前、離婚する。2人は親権を争ったが2人だけでは決着が付かなかった。 最後の手段ともいえる裁判。裁判所の判断で母親に親権が決定し引き取られるも、父は幾度となくアリアの親権を求め裁判を繰り返した。 その繰り返される親権争いを嫌い、アリアはとある山の中に家出する。子供が1人で山に入り、彷徨い歩けば遭難するのは誰でも想像がつく。 しかし非常に幸運なことに・・・あえて孤立した環境に身を置いている独り者の家に辿り着いた。 何があったのかを話すと、その独り者はアリアを黙って受け入れた。 その独り者とアリアの日々が始まり、3年半。独り者に死が訪れた。残ったアリアはその家にそのまま残り、生活を続けた。独り者がアリアにプレゼントした竪琴を練習し、うまく弾けるようになる・ソルレソルを身に付けようとする生活を。 アリアがこの家に来て7年近くが経とうとする頃。もらった竪琴で最高の曲を奏でることができるようになった。 その数日後。琴座(ライラ)の聖衣がアリアの前に飛来し、装着。アリアが聖闘士として戦うことを琴座(ライラ)の聖衣に返答し、戦いの日々が始まった。
かつて湖だったのだろう、竪琴を象るような形の底に干上がった跡が残っている。 さらに竪琴の弦のように7本の樹が倒れていた跡もある。樹の跡の方が干上がった跡に比べると新しい。 「琴座(ライラ)、勝負!」 ハーモニカのエトがアリアに戦いを挑む。 「今までの戦いで、聖衣が随分と痛んでいるようだな。この戦いで散れ!」 「負けるわけにはいかない」 昴が蟹座(キャンサー)の黄金聖衣に黄金聖闘士候補として認められ、黄泉平坂で神々の音叉を手に入れることができたものの・・・音叉を鳴らしただけでは、パラサイトの時間停止を打ち破るソルレソルの「ミ」の効力が全世界に広がることはなかった。 その後アリアが旅を続けた結果、「アポロンの竪琴」が浮上してきた。アポロンの竪琴がどんなものなのかまでは分からなかったが、この場へ来て意味が分かった。 この湖の跡が、探していた「アポロンの竪琴」なのだと。
破 湖岸の闘い 「エト、退け!」 ハイペリオンが現れ、エトに撤退を命じる。 「ハイペリオン様!琴座(ライラ)は私の獲物」 「今の状況を分かっているのか、琴座(ライラ)を絶対に殺さねばならんのだぞ」 「し、しかし・・・」
「俺の相手は誰だ?」 そこへ新たな声がする。エトは撤退せず、その場に留まっている。琴座(ライラ)との勝負にこだわりがある故だ。 現れた声の主。それは聖闘士であった。 「その聖衣は・・・キ、白鳥座(キグナス)!伝説の聖闘士、氷河か!」 エトは氷河の出現に驚きを隠せない。 「氷河、伝説の聖闘士の1人か!」 「我が師カミュ直伝の氷の闘技を見せてやろう」 氷河の小宇宙(コスモ)が燃える。白鳥の舞から先手の一撃が放たれる。 「ダイアモンドダストーっ!」 「この程度の凍気!」 天地崩滅斬を一閃し、粉雪を払うかの如くものともしないハイペリオン。 「伝説の聖闘士の1人だけある。これほどの小宇宙(コスモ)とはな」 ハイペリオンが氷河の実力を認める。その氷河は白銀聖衣を見る。 「その聖衣は琴座(ライラ)・・・オルフェの後、誰も纏えるものがいなかったという話だが」 氷河の言葉を遮り、アリアが言う。 「話は後だ、今は・・・」 「ああ」 アリアの戦うことが先決、という言葉の暗黙の意味に 氷河は同調する。
氷河対ハイペリオンの闘いが始まった。 ダイアモンドダストやホーロドニースメルチなどを駆使するも、ハイペリオンを上回ることができない氷河。 アリアが氷河の加勢に動こうとしたその時。エトがアリアの前に立ちふさがる。 「ハイペリオン様、申し訳ありません。やはりこの場で琴座(ライラ)を、私が倒します!打ち取れねば、わが命を差し出しましょう!」 「そこまで言うなら・・・エト、琴座(ライラ)を倒せ!」 ハイペリオンの許可が出たことで、エトの小宇宙(コスモ)が増大していく。 「ハーモニカ オーディエンスブレイカーのエト、この場で決着をつける!」 アリアも小宇宙(コスモ)を燃やす。アリア対エトの戦いも始まった。
氷河対ハイペリオン・アリア対エトの戦いが始まり、時間が経った頃。 光牙達がアポロンの竪琴に辿り着き、2つの戦いを目撃する。 「闘ってる聖闘士は誰だ?」 特に琴座(ライラ)の聖闘士を見て、光牙達は驚きを隠せなかった。 「アリア!」光牙が真っ先に口にしたその名。マルスとの戦いの最中で死んだアリアのことを言っているのは光牙達の誰もがわかっていた。 「アリアに似てるやつはともかく、あと1人は誰だ?」 蒼摩がアリア以外のことを尋ねる。 「あいつ・・・聖域(サンクチュアリ)で会ったことがあるぞ」 光牙が思い出す。 「あの剣の傷・・・玄武を殺した天地崩滅斬か!」 「おそらくあいつが本当の持ち主なんだと思う」 栄斗の言葉に龍峰が反応する。
2つの闘いのうち、アリア対エトの戦いは予想よりあっさりとした結末を迎えることになった。 「G線上のアリアは通じないぞ!」 「確かに得意技の1つではある。しかし、あれが必殺技とは言っていない」 「!?」 「ストリンガーカノン!」 7本の弦から放たれる7つの音階すべてに最大の攻撃力を付加し、7色の軌跡を描いた音階が敵へ1点集中する。それは「主砲(カノン)」と呼ぶにふさわしい威力を見せる。 エトのクロノテクターを全身粉々にし、エトを倒してみせるアリア。 「エト、平和な時に出会っていれば・・・」 そんな思いを吐露しながらも、片膝をつく。 「大丈夫か!」 光牙達が駆け寄る。 「大丈夫だ・・・それよりハイペリオンを何とか」 何とかしないと、言おうとしたのだろう。しかし、ストリンガーカノンを放った小宇宙(コスモ)の使い方の為か、少しばかり気を失ったようだ。 「気を失っただけみたいだね、目が覚めれば大丈夫」 龍峰がアリアの様子を判断した。
「ダイアモンドダストーっ!」 氷河の声が聞こえてくる。 「ハイペリオンと戦っているのは・・・伝説の聖闘士の一人、白鳥座(キグナス)の氷河!」 技名を聞いて、龍峰が思い当ったとばかりに氷河の名を口に出す。 「伝説の聖闘士?星矢と共に戦ったっていう?」 「うん。氷の闘技の聖闘士、白鳥座(キグナス)氷河。その師匠である、水瓶座(アクエリアス)のカミュは水と氷の魔術師と言われてた。その氷の闘技を受け継いだ今・・・氷の闘技で氷河を超える者はいないだろうね 「伝説の聖闘士の1人だとしても、戦況は良くないみたいだな」 栄斗が氷河に加勢しようとする意志を見せる。 「ハイペリオンを倒せば、あいつらに相当ダメージを与えられるぜ」 「加勢したいのは山々だけど・・・中途半端な加勢は却って邪魔になる」 蒼摩が栄斗に賛同するも、龍峰が制止する。 「僕に考えがある。それができれば、少しはハイペリオンとの戦いが有利になるかもしれない。あの2人に距離を取らせることができればいいんだけど・・・」 「氷河にその考えを伝えたい、ってことか?龍峰」 「うん」 「分かった。ペガサス彗星拳!」 光牙の彗星拳が氷河とハイペリオンの間に炸裂し、仕切り直しさせる。 「ペガサスか、邪魔をするな!」 天地崩滅斬を光牙に向けて、振り下ろそうとするハイペリオン。しかし、ハイペリオン自身が思っていたよりずっとのろく振り下ろされた。 「少しは効いたようだな」 「ふん、今までの氷河の攻撃の蓄積の結果か。お前の力ではない」 その言葉と共に天地崩滅斬を振り下ろす。 光牙達はハイペリオンの攻撃をよけるとともに氷河のもとに集う。 その途中、アリアが目覚めていた。
急 デシールタと「ミ」 「氷河、手短に言います。三位一体攻撃なら」 「鷲座(アクィラ)と琴座(ライラ)がいるから、か?」 「はい。禁じ手の威力には及ばないと思いますが、ハイペリオンに立ち向かえる可能性は十分あります。うまくいけば天地崩滅斬を封印できるかも」 「ユナ、それと・・・」 「私はアリア。白銀聖闘士琴座(ライラ)のアリアだ」 氷河への話を聞いていたユナとアリアは頷く。 「ユナ、アリア!3人同時に仕掛けるぞ!」 アテナエクスクラメーションに倣い、3人同時攻撃を仕掛ける。 「オーロラエクスキューション!」 「アクィラ・シャイニング・ブラスター!」 「ストリンガーカノン!」 黄金聖闘士3人の同時攻撃に比べれば及ばないが、それでも個々に攻撃するよりもずっと威力がある。 「3人同時攻撃か・・・アテナエクスクラメーションの真似事で勝てると思ったか!ビッグバン並の威力と言われるアテナエクスクラメーションと言えど、天地崩滅斬には効かぬ!」 「そうでもないさ。白鳥座(キグナス)、琴座(ライラ)、鷲座(アクィラ)の3人が仕掛けているのだからな」冷静な氷河の声がハイペリオンに向かう。 「!!!」 ハイペリオンが焦りの色を見せる。 「狙いはそれか!」策にはまったとばかり、悔しさを顕に吐き捨てる。 今は3人の同時攻撃と天地崩滅斬がぶつかり合っている状態。
「アテナエクスラメーション・デシールタ!」 氷河・ユナ・アリアの3人が放ったアテナエクスクラメーション。防御していた状態から状態を変化させた。正四面体型に・・・さらに天地崩滅斬をその中に取り込んで。 「やった!うまくいった!」 龍峰が喜ぶ。 天地崩滅斬を手放さなければ、自分も封印されかねない威力であることはすぐに分かった。 「おのれ!我が天地崩滅斬をよくも!」 ハイペリオンは怒りを滾らせながら、撤退した。
ひとまずとはいえ、ハイペリオンを退けたことに束の間の喜びと安堵を覚える面々。 「なるほど、夏の大三角形を成す3人の同時攻撃ってわけか」 光牙は素直に感心している。その光牙に対して龍峰が頷いて見せた。 「だから氷河とユナとアリアを選んだのか」 氷河・ユナ・アリアの3人による同時攻撃だったことにも納得した表情を見せる光牙。
「3人同時攻撃か・・・アテナエクスクラメーション。すなわちアテナからは禁じ手としてされているものだな?」 栄斗が龍峰に問う。
「アテナエクスクラメーション?」蒼摩も不思議そうだ。 「そう。アテナエクスクラメーションは黄金聖闘士3人が同時に攻撃する禁じ手。その威力はビッグバンに喩えられるくらいすごいものなんだって」 「もしかして、紫龍から聞いたのか?」蒼摩は龍峰に尋ねる。 「うん。以前ハーデスとの聖戦の時に、冥闘士(スペクター)のふりをした元黄金聖闘士と現役の黄金聖闘士、それぞれの放ったアテナエクスクラメーションで、聖域(サンクチュアリ)が吹き飛びそうになったって。結局、父さんが加勢した現役黄金聖闘士側のアテナエクスクラメーションが勝って、元黄金聖闘士達は2つのアテナエクスクラメーションをもろに食らったって話だった。父さんが加勢するまでは、威力が互角同士で、暴発でもしたら、本当に聖域(サンクチュアリ)が消滅してだろうって、父さんは言ってた」 「禁じ手とも言えるアテナエクスクラメーションの真似事をしたからな、あれだけの結果がないと」 蒼摩が結果オーライとばかりに発言する。 「でも良かったんじゃねえの?ハイペリオンの天地崩滅斬を封じたんだぜ」 昴もそれに乗って発言する。
「むしろ剣を使っていた時の方が良かった、ということにならなければいいが」 氷河の心配の意味が分からない、と光牙達が不思議そうな顔をする。 「剣のように武器を使っている間の方が、自らの最大の力を使わずにいる。そういうヤツもいるということだ」 氷河は誰かのことを想定して言っているようだ。
アリアが氷河に問う。 「氷河、水と氷の魔術師の闘技を受け継いでいるなら・・・この湖を満たすことはできないか?」 「?どういうことだ?」 「この湖を復活させられれば、芸術の神アポロンの力を借りて、世界中の人々の時間停止を一斉に解除できるだろう」 そして、聖衣の中にしまっておいた神々の音叉を見せる。 「これは神々の音叉。芸術の神アポロンが使う竪琴の調律に使われた音叉だ。琴座(ライラ)の聖衣が、この音叉にソルレソルの『ミ』をぶつけて拡散させれば、世界中の人々の時間停止を解除できると教えてくれた。手に入れてすぐに試したが、効果がなかった。さらに旅を続けた結果、『アポロンの竪琴』が鍵になると知った。アポロンの竪琴が何なのかまでは掴むことはできなかったが、ここへ着いて意味がやっと分かった」
氷河はアリアの問いに頷いた。力をいかんなく発揮し、湖に水を満たして見せる氷河。 「後は、弦にあたる部分の樹を7本並べる」 「任せろ」栄斗が7本の樹を湖に浮かべて見せる。 すると・・・湖全体から光の柱がまっすぐと高々に伸びる。 アリアの持つ神々の音叉がその光に吸い寄せられ、空中に浮いている。しばらく浮いた後音叉自身が光出す。 その影響はすぐに琴座(ライラ)の聖衣に現れた。琴座(ライラ)の聖衣が新生、という形で。 「まさか、琴座(ライラ)の聖衣が新生するとは」 新生(ニュー)琴座(ライラ)の聖衣により、小宇宙(コスモ)が飛躍的に大きくなるアリア。 「交響(ひび)け、私の小宇宙(コスモ)!ソルレソルの『ミ』よ、今こそ世界中の人々の時間をもとに!」 ミの音、一音だけを音叉に向けて奏でるアリア。音叉は見事に世界中にソルレソルの「ミ」の音を拡散し、時間停止を受けていた人々全てを元に戻した。 「良かった・・・これでパラサイトの時間停止を人々に使うことはできない。もし行えば、アポロンを敵に回すことになる」 「よっしゃー!」 「すげーぜ!あんた!」 蒼摩と昴が大喜びしている。 「ユナ、頼みがある。すまないが、私の曲に合わせてアポロンに捧げる踊りを踊ってもらえないか?」 「私でいいの?」 「問題ない。ユナならアポロンに捧げるにふさわしい踊りを踊れると信じている」
アリアは頷き、曲を弾き始めた・・・その曲は白鳥の湖であった。 琴座(ライラ)が白鳥の湖を弾き、鷲座(アクィラ)が舞う。 夏の大三角形の星座に関するものが1つになったその曲と舞の間、ほんのわずかながら、心からの安らぎをその場にいた者達にもたらした。 そして、これから迎えるパラサイトとの戦いに勝利することを誓うのであった。
参考資料 聖闘士星矢Ω番外編 ミ・ライ 聖闘士星矢Ω登場人物wiki ソルレソルwiki ビックカメラ・コジマ・ソフマップグループ合同2013年夏の星座団扇
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